ジェラートって、アイスクリームと何が違うの?Nicolitaが考える“さっぱり濃い”おいしさ
お店に立っていると、ときどき聞かれることがあります。
「ジェラートって、アイスクリームと何が違うんですか?」
たしかに、どちらも冷たくて、甘くて、なめらかで、見た目もよく似ています。
でも、食べてみると少し違う。
アイスクリームには、アイスクリームならではのこってりとしたリッチなおいしさがあります。
一方で、ジェラートには、さっぱりしているのに味の密度を感じられる、また別のおいしさがあります。
どちらが上で、どちらが下という話ではありません。
目指しているおいしさの方向が、少し違うのです。

そもそもジェラートは、イタリアのアイスです
ジェラートは「アイスクリームとはまったく別の食べ物」というより、イタリアで親しまれてきたアイスです。「ジェラート」は、イタリア語で「凍ったもの」を意味する冷たいお菓子のこと。
ただし、日本の食品表示では、「アイスクリーム類」として分類されており、「ジェラート」という独立した種類別があるわけではありません。
日本では、アイスクリーム類は成分によって「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」に分けられています。
そのため、日本の”ジェラート”は、配合によって表示が異なります。
乳固形分や乳脂肪分が基準値を超えていれば「アイスクリーム」に分類されますし、値によっては「アイスミルク」など他に分類されます。
表示名は、おいしさの順位ではありません
「アイスクリーム」は乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上。
「アイスミルク」は乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上。
「ラクトアイス」は乳固形分3.0%以上。
「氷菓」は、乳固形分がほとんど含まれていません。
つまり、これらの表示名は単に「どのくらい乳固形分や乳脂肪分が含まれているか」を示すもの。
それだけで、その商品のおいしさや価値が決まるわけではありません。
ジェラートはアイスクリームと比べて、生クリームより牛乳を多く使うため※、乳脂肪分の割合が少なく、「アイスミルク」に分類されることが多いです。
(※一般論のため、そうでない場合や、豆乳など牛乳を使わないケースもあります。)
同じ表示でも、目指しているものは違う
世の中では、
「アイスミルクやラクトアイスはあまり良くない」
というイメージを持たれることがあります。
その背景には、市販のアイスの中に、乳脂肪分だけでなく、植物油脂などを使ってコクやなめらかさを出している商品があることも関係しているのかもしれません。
もちろん、それ自体が悪いということではありません。
価格、食感、保存性、作りやすさ、食べやすさ。
それぞれの商品には、目指しているものがあります。
ただ、知っていただきたいのは、同じ「アイスミルク」や「ラクトアイス」という表示でも、そこに至る理由はひとつではないということです。
アイスクリームのようなリッチ感に近づけるために、乳脂肪以外の油脂を使う商品もあります。
一方で、ジェラートの場合は、牛乳を多く使い、生クリームの重さに頼りすぎず、素材そのものの香りや味わいを前に出す設計にすることが多くあります。
表示上は同じでも、考え方はまったく違う。
だからこそ、「アイスクリーム」という表示だけで良し悪しを判断するのではなく、どんな素材を使い、どんなおいしさを目指しているのかを見ることが大切だと思っています。
ジェラートは、脂肪分でリッチさを作りません
アイスクリームには、アイスクリームならではの魅力があります。
生クリームのコク。
濃厚でなめらかな口どけ。
しっかりとした甘さと満足感。
それは、アイスクリームだからこそ楽しめるおいしさです。
一方で、ジェラートは少し違います。
ジェラートは、乳脂肪分の高さでリッチさを出しません。
むしろ脂肪分を抑えることで、果物の香り、野菜の甘み、ナッツのコクなど、素材そのものの個性を感じやすくなります。
さっぱりしているのに、濃厚に感じる。
軽やかなのに、満足感がある。
口の中で素材の風味がすっと立ち上がる。
私は、そこにジェラートならではのリッチさがあると思っています。
もうひとつの違いは「空気の量」
ジェラートとアイスクリームの違いを考えるとき、乳脂肪分と同じくらい大切なのが、空気の量です。
アイスクリームには、なめらかな口どけを作るために空気が含まれています。
この空気の混入割合を「オーバーラン」といいます。
たとえば、アイスの液が1リットルあったとします。
そこに空気を含ませながら冷やし固め、できあがりが2リットルになった場合、オーバーランは100%です。
一般的なアイスクリームのオーバーランは、40〜100%ほどとされています。
空気を多く含むことで、ふわっと軽い食感になります。
空気が少ないと、密度があり、味をぎゅっと感じやすい食感になります。
一方で、ジェラートはアイスクリームに比べて空気の量が少なめで、20〜30%前後で作られることも多いです。
だから、口に入れたときに味の密度を感じやすい。
同じカップの量でも、軽さよりも“詰まったおいしさ”を感じやすいのが、ジェラートの魅力のひとつです。
Nicolitaが目指しているのは、まさにこの
“さっぱりしているのに、濃い”
というおいしさです。
毎日食べたくなるジェラートを目指して
実は私は、もともとアイスが特別好きだったわけではありません。
ジェラートと聞いても、甘ったるくて冷たい、シャリシャリした食べ物という印象を持っていました。
そんな私だからこそ、Nicolitaでは
「私のような人でも毎日食べたくなるジェラート」
を作りたいと思っています。
重たすぎないこと。
甘すぎないこと。
でも、素材の味はしっかり感じられること。
目指しているのは、密度があって濃厚なのに、毎日食べてもくどく感じないジェラートです。
コーヒーやお茶のように、日々の暮らしの中で気軽に楽しんでいただける存在になれたらと思っています。
Nicolitaが大切にしていること
Nicolitaでは、地元の食材を使ったジェラートづくりを大切にしています。
果物の香り。
野菜の甘み。
ナッツのコク。
発酵食品の奥行き。
そうした食材の個性を、口の中でちゃんと感じていただきたいと思っています。
そのために、乳脂肪分の高い生クリームも適量使いながら、素材の味が前に出るバランスを探しています。
重たくなりすぎないこと。
でも、物足りなくならないこと。
さっぱりしているのに、余韻が残ること。
そのちょうどよいところを探しながら、日々ジェラートを作っています。
野菜のジェラートにも、面白さがあります
Nicolitaでは、果物だけでなく、野菜を使ったジェラートにも取り組んでいます。
小松菜とクリームチーズを合わせた「コマチー」。
冷製コーンポタージュのような「スイートコーン」・「ウィンターコーン」。
「里芋・味噌キャラメル」。
「ほうれん草の胡麻和え」。
初めて聞くと、少し驚かれるかもしれません。
でも、野菜には野菜の甘みや香りがあります。
ジェラートにすることで、その食材の新しい表情が見えてくることがあります。
Nicolitaが野菜のジェラートを作り続けているのは、珍しいからではありません。
おいしいものになると信じているからです。
アイスクリームにはアイスクリームの、ジェラートにはジェラートのおいしさがある
最後に、もう一度お伝えしたいことがあります。
アイスクリームには、アイスクリームのおいしさがあります。
ジェラートには、ジェラートのおいしさがあります。
どちらが上かではありません。
こってりとした濃厚さを楽しみたい日もある。
素材の味を軽やかに、でもしっかり感じたい日もある。
その日の気分や、食べたいものに合わせて選べばいいのだと思います。
Nicolitaのジェラートを通じて、
「ジェラートって、こんなにおいしいんだ」
「素材の味って、こんなふうに楽しめるんだ」
と感じていただけたら、とてもうれしいです。
横浜・センター北の小さなジェラテリアから、これからも地元食材の魅力と、ジェラートの自由なおいしさを届けていきます。
参考サイト
- 一般社団法人 日本乳業協会
「アイスクリーム類にはどのような種類があるのですか?」
https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_025_447/ - 一般社団法人 日本アイスクリーム協会
「アイスクリームは、凍っているのに口溶けがいいのはなぜ?」
https://www.icecream.or.jp/iceworld/qa/07.html - 一般社団法人 日本アイスクリーム協会
「パッケージには、どんなことが書かれているの?」
https://www.icecream.or.jp/iceworld/qa/03.html